ビーニャ・バルディビエソ:チリ泡の先駆者が体現する「畑第一主義」のテロワール

THE WORLD FINE WINE | チリ / セントラル・ヴァレー・クリコ・ヴァレー・リマリ・ヴァレー・レイダ・ヴァレー / カベルネ・ソーヴィニヨン・シャルドネ・ピノ・ノワール

「ワインの品質は畑で決まる。品種ごとに最適なテロワールを追い求めることが、私たちの使命だ。」— ビーニャ・バルディビエソの哲学

項目内容
ワイナリー名ビーニャ・バルディビエソ(Viña Valdivieso)
設立年1879年
所在地チリ・サンティアゴ(醸造所)/ロントゥエ・クリコ・ヴァレー(スティルワイン醸造所)
創業者アルベルト・バルディビエソ
主要品種シャルドネ、ピノ・ノワール、カベルネ・ソーヴィニヨン、カルメネール、メルロー
代表ワインカバジョ・ロコ(Caballo Loco)、シングル・ヴィンヤード・シリーズ、スパークリング・エクストラ・ブリュット
参考価格帯1,500円〜15,000円(税抜)

1879年、南米大陸でいまだスパークリングワインの概念すら浸透していない時代に、ひとりの男がシャンパーニュの夢をチリの大地に植えた。その名はアルベルト・バルディビエソ。彼が興した「Champagne Alberto Valdivieso S.A.」は、チリはもとより南米全土で初めてスパークリングワインを生み出したワイナリーとなり、以来140年以上にわたってチリのワイン文化をリードしてきた。

今日のビーニャ・バルディビエソは、スパークリングワインの名門という枠を超え、スティルワインにおいてもチリを代表するトップ・ワイナリーとして世界から認められている。2024年には南米最大級の国際コンクール「カタドール・ワイン・アワード」でベスト・ワイナリー・オブ・ザ・イヤーを受賞。名実ともにその地位を揺るぎないものとした。


目次

歴史|1879年に始まった「先駆者」の物語

1879年 南米スパークリングの夜明け

アルベルト・バルディビエソ氏は裕福な家系の出身で、チリ社交界でも多くの著名人と親交を深めた人物だった。ヨーロッパを繰り返し旅し、とりわけパリに長く滞在した経験の中でシャンパーニュ醸造の技術と哲学に深く魅了される。帰国後、家族経営の小さなワイナリーを買収、近代的な設備を整え、フランスから苗木を取り寄せた。その中にはチリで最初に植えられたシャルドネも含まれていたという。

こうして誕生した「Champagne Alberto Valdivieso S.A.」は、南米で初めて瓶内二次発酵(メトード・トラディショネル)を導入。まだスパークリングワインが珍しかった南米の地で、バルディビエソはたちまちチリ社交界の象徴的な存在となっていった。

1980年代 スティルワインの本格始動

創業から約100年を経た1980年代、ワイナリーはサンティアゴから南へ約200kmのロントゥエ(クリコ・ヴァレー)に最新鋭の醸造所を設立。1,100万リットルの生産能力と4,000樽の熟成庫を擁するこの施設から、アイコンワイン「カバジョ・ロコ」をはじめとする世界的なプレミアムスティルワインが次々と生まれていく。

2024年 世界が再び認めた140年の矜持

革新と伝統の融合を貫いてきた結果は、2024年のカタドール・ワイン・アワード「ベスト・ワイナリー・オブ・ザ・イヤー」受賞という形で実を結ぶ。現在、バルディビエソのワインは世界140カ国以上で高く評価されている。


テロワール|南北・東西の多様性が織りなす個性

地形

南北約4,000kmに及ぶチリの国土は、北にアタカマ砂漠、東にアンデス山脈、西に太平洋、南にパタゴニア氷原という「天然の要塞」に囲まれている。この隔絶された環境が害虫フィロキセラの侵入を阻み、世界的にも稀少な「自根(Pie Franco)」のブドウ樹を今日まで守り抜いてきた。近年は「Costa(海岸部)」「Entre Cordilleras(中央部)」「Andes(山岳部)」という東西3軸の概念を導入し、より緻密な区画選定を行っている。

気候

レイダ、カサブランカ、リマリといった沿岸部では、太平洋からの海風と「カマンチャカ」と呼ばれる濃霧が重要な役割を果たす。この霧が日照を適度に遮り、ブドウの成熟を緩やかにすることで、酸の保持と繊細なアロマの凝縮が可能になる。一方、アンデス山脈の裾野では、強い日射と夜間の冷え込みによる大きな日較差が、鮮烈な酸と力強い構造をブドウにもたらす。

土壌

畑名・産地場所土壌の特徴ワインのスタイル
ラ・プリマヴェーラ(La Primavera)クリコ・ヴァレー / サグラダ・ファミリアローム・粘土質(Loam Clay)。岩盤上に位置し、排水性と適度な肥沃さを兼備黒ブドウ系スティルワイン。丸みのある果実味と骨格のバランスが秀逸
リマリ・ヴァレー(Limarí Valley)チリ北部・沿岸部沖積・崩積土壌。高い塩分濃度を含むシャルドネに独特のミネラル感と緊張感あるフレッシュさ
レイダ・ヴァレー(Leyda Valley)サン・アントニオ / 海岸部排水性に優れた土壌冷涼な気候と相まって、極めてクリーンな果実味
ビオビオ・ヴァレー(Bío-Bío Valley)チリ南部・冷涼産地火山性土壌ピノ・ノワールに豊かな酸と繊細なエレガンス

醸造家|情熱を体現するエキスパートたち

バルディビエソの品質を支えるのは、国際的な知見を持つプロフェッショナル集団だ。

最高醸造責任者・ブレッド・ジャクソン(Brett Jackson)はニュージーランド出身。2001年に参画し、2017年からはスティル・スパークリング両部門を統括している。世界各地での醸造経験を活かし、テロワール表現の統一感を指揮する存在だ。

スパークリング醸造責任者・クラウディア・ピント(Claudia Pinto)は同社初の女性醸造責任者であり、スティルワインの醸造にも精通する。ベースワインの段階から緻密な計算に基づいた高品質なスパークリング造りを主導している。

「テロワールの個性を最大限にボトルへ封じ込めること。それが我々の使命だ。」— ブレッド・ジャクソン

これを支えるのが、シングル・ヴィンヤードシリーズ等を担うプレミアムワイン醸造家・ヒメナ・クリスティ(Ximena Cristi)、新たなテロワール開拓の最前線に立つ栽培責任者・ホルヘ・ロハス(Jorge Rojas)、そして技術革新をサポートするエノロジカル・アドバイザー・ディエゴ・リベルト(Diego Liberto)だ。70以上の契約農家との密接なパートナーシップのもと、「畑第一主義(Vineyard First)」の哲学を日々体現している。


ワインラインナップ

Signature Wine

カバジョ・ロコ(Caballo Loco)

「狂った馬」という名を冠した、ワイナリーの哲学を象徴するアイコンワインだ。マルチヴィンテージ・スタイル(ソレラ・システム)を採用し、異なる年のワインをブレンドすることで、単一ヴィンテージでは表現し得ない複雑性と深みを生み出している。Grand Cruシリーズ(サグラダ・ファミリア、リマリ、マイポ、クリコ等)では各テロワールの純粋な個性をボトルに閉じ込めており、参考価格は8,000〜15,000円前後(税抜)。

Premium Wine

シングル・ヴィンヤード・シリーズ(Single Vineyard)

Fine Wineの入口として位置づけたいのが、このシリーズだ。サグラダ・ファミリア産メルロー、リマリ産シャルドネなど、特定のテロワールを精緻に表現した1本が揃う。まず試すべき1本は「シングル・ヴィンヤード マイポ・ヴァレー カベルネ・ソーヴィニヨン」(参考価格:2,450円前後・税抜)。リッチなブラックベリーと完熟チェリーのアロマ、ヴェルヴェットのように溶けるタンニンが印象的で、チリ・カベルネの実力を体感できる。

スパークリング・エクストラ・ブリュット(Extra Brut)

ビオビオ、レイダ、カサブランカという3つの冷涼産地をアッサンブラージュした瓶内二次発酵ワイン。凝縮感と鮮度を両立した複雑なスパークリングで、参考価格は3,000〜4,000円前後(税抜)。

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スパークリング・ブラン・ド・ノワール(Blanc de Noirs)

ビオビオ・ヴァレー産ピノ・ノワール100%。豊かな酸と力強い構造、エレガンスが共存する、テロワールの個性を感じる1本。参考価格は3,000〜4,000円前後(税抜)。

Casual Wine

バルディビエソ・ブリュット(Valdivieso Brut) 参考価格:1,500円(税抜) シャルドネとピノ・ノワールを使用したシャルマ方式のスパークリング。チリ国内シェアNo.1のフラッグシップ。サクラアワード2025金賞受賞。爽やかな柑橘果実の風味とふくよかな質感が特徴で、デイリーの泡として申し分ない完成度を持つ。

バルディビエソ・ブリュット・ロゼ(Valdivieso Brut Rosé) 参考価格:1,500円前後(税抜) ベリー系の風味と引き締まった酸味、細かな泡が魅力の辛口ロゼ・スパークリング。


まとめ

まず1本、試してみてほしい。バルディビエソのブリュット1,500円は、チリワインの奥深さへの最短ルートだ。その先にシングル・ヴィンヤードがあり、カバジョ・ロコがある。「畑第一主義」の哲学は、どのボトルにも宿っている。


THE WORLD FINE WINE | Fine wine begins with a great story.

SOURCE
・公式ホームページ:Viña Valdivieso Official Website
・輸入元:モトックス — ビーニャ・バルディビエソ

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この記事を書いた人

50代なかばにしてJ.S.A. (一般財団法人日本ソムリエ協会) のワイン検定ブロンズ、シルバーに合格。翌年に同協会のワインエキスパートに一発合格。
もっと早くワインに親しんでいればとくやむこの頃。
・J.S.A. (一般財団法人日本ソムリエ協会) 認定ワインエキスパート
・J.S.A. (一般財団法人日本ソムリエ協会) 正会員

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